呼吸は意識せずに練習すべし
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太極拳では下肢で上体を運ぶ。
腰を捻ったり体幹部をねじったりしない。
これは第一に呼吸が楽になると言う効果がある。
というのも腰を捻ったり体幹部をねじる動作は肺から空気を押し出す動きになるので呼吸が乱れる原因になって、十分な呼吸が出来ないからだ。
呼吸に関しては、本によって様々で、たとえば手足を身体に引き寄せるときに吸い、手足を身体から遠ざけるときに吐くと書いている本がある。
逆にそう言う作為的なことはせず、身体の動きに任せて呼吸せよと書いてある本もある。
手足の動かし方と呼吸は確かに対応するのではあるが、それは自然な呼吸なら自然にそうなるという話であって、無理に呼吸で動作を操作しようと言うのは危険だというのだ。
呼吸というのは命に関わることなので、呼吸を使って身体の動きをリードさせようとしたり、動きに無理に呼吸を合わせようとすると、身体にとって少なからず負担になると言うことらしい。
それに太極拳は武術だから、相手がいつ攻撃してくるかも知れず、自分の呼吸に注意していたら命に関わると言うこともある。
まあ呼吸というのは、肋間筋や横隔膜などの呼吸筋で行うモノなので、呼吸筋が十分にスムーズに働くのならば、無理に意識して呼吸する必要がないといえば確かにそうなのだが。
呼吸法のトレーニングは必ず床の上で座ってする
ヨガなどでは呼吸のトレーニングがある。
しかし呼吸のトレーニングをやるときには、布団などの上に座ってやれとかいてある。
というのも呼吸法のトレーニングは危険がいっぱいで、気を失って倒れるというようなことも起こるからだ。
倒れたときにケガしたり頭を打ったりしないように、床の上で座ってやれと言うことらしい。
またクンバカ(息こらえ)のようなのも危険だから、やるべきでないと書いてある本も見たことがある。
因みに前回も書いたが、息を十分に吐くことが出来ないと、肺の中の二酸化炭素の濃度が上がって血液のPHが酸性側に傾いて危険(アシドーシスという)。
逆に過呼吸になると二酸化炭素の濃度が足りなくなって、血液のPHがアルカリ性側に傾いて危険(アルカローシス)だ。
また酸素が足りないと脳の働きも鈍くなって、幻覚を見たりすると言うこともあるようだから、呼吸のトレーニングはくれぐれも気を付けてやるべきだろう。
私も若い頃、借力拳法(チャクリキ)という本に載っていた呼吸法(息こらえ)というのをやっていたことがあるが、一度頭がクラクラして、気が付いたら何時間もたっていたという経験がある。
くれぐれも一人の時はやらないのが得策だろう。
昏倒しても誰も助けられないから。
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