24式太極拳【動画】(20)閃通臂
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24式健康太極拳、第20式は、閃通臂(シャントンペイ)です。
通臂(トンペイ)というのは背中の力を使う技で、通臂拳(通背拳)なんていう拳法があります。
素早い動きと、遠くまで届く腕が特徴で、手足の長いサルの動きを取り入れたという武術です。
通背拳は、見た目は手足を振り回しているだけで、果たして実戦に使えるのかと思う人もいるでしょうが、手を鞭のように使って、掌で打つ攻撃には大きな浸透力があって、一発当たるとそれだけで大きなダメージを喰らういわば「一撃必殺」の武術のようです。
というのも濡れタオルを振り回しているようなもので、当たると掌がまとわりついて、攻撃力が身体にまともに伝わるので、首から上に当たると脳が揺さぶられて昏倒、胸や背中に当たると息が詰まって絶句、胴体に当たるとボディーブローのように効いて悶絶するとか。
ただし通臂というのは遠い間合いが必要な攻撃法が多く、間合いが近づきすぎてしまったらどうするかというと、そう言うときは相手を突き飛ばして距離を作って攻撃するとか。
一方、太極拳は接近戦の拳法で、相手との間合いが近い状況で有効な技が中心です。
これはつまり、遠い間合いからの攻撃を受けると致命傷になるので、とにかく相手にくっついて安全に戦おうという戦略のようです。
ただしそれでも必要最小限の勁力が必要ですので、そのための力を出す工夫がたくさんあるようです。
右肩と左股関節をつないで右掌を走らせる…なんていうのを前に外三合の話のところで紹介しましたが、これなんかは座った状態からでも勁力が出せるようにした工夫ですよね。
閃通臂 動画
閃通臂は、英語の本をみるとFlash the Armsと言う技名が付いています。
閃光のように素早く両腕を動かす、という意味でしょうかね。
動作を簡単に書いておきます。
(両足を揃えたところから)
- 重心を右足に移し、左足を前に出してカカトを地面に付ける。
- 足と同時に両手の平を正面に差しだし、目の高さに置く(両掌向かい合わせ)。
- 右腕を内旋させて手の平を外に向け、左手は掌を外側に返して前に向ける(指先は天)。
- 左足のつま先を右に向けて、足の裏全体を地面に付ける。
- 左掌を小指主導で前方左向きに押しだし、人差し指は右まゆ毛を指す。
- 右掌は右耳の横まで引いてくる
- 右足のカカトを自然に前方向に入れ、身体を沈めて馬歩になる。
- 体重は両足にかけ、目線は左人差し指の向こう側に向ける。
- 注意は左掌に集める。
八極拳なら逆につま先を軸にしてカカトを外に振り出して力を出すところです。
この説明では左掌を打ち出すときに馬歩になりますが、普通はここは弓歩ですね。
ウースタイルでは、楊式で弓歩になるところを馬歩でする動作がけっこうあるようです。